ステップ 5 — どのインストールが最適ですか?

通常Red Hat Linuxは、専用のディスクパーティションにインストールされるか、すでにインストールされているLinuxに上書きしてインストールされます。

Warning警告
 

他のLinux(Red Hat Linuxを含む)のインストールを上書きしてRed Hat Linuxをインストールした場合、前のインストールのすべての情報(ファイルまたはデータ)は保持されません。大事なファイルは必ず保存しておいてください。この方法でインストールし、データを既存システム上に保持したい場合は、データのバックアップを作成するか、インストールではなくアップグレードを行う必要があります。

Red Hat Linuxには、5つのインストールタイプ(またはクラス)があります。

ワークステーション

ワークステーションクラスインストールは、Linux初心者が最初にLinuxを試すのに最適なインストールです。インストールに関するいくつかの質問に答えることにより、すぐにRed Hat Linuxをインストールし、実行することができます。

サーバー

サーバークラスインストールは、システムをLinuxベースのサーバーとして機能させ、かつシステム設定をあまりカスタマイズしたくない場合に最適です。

ラップトップ

ラップトップクラスインストールは、Red Hat LinuxをラップトップPCに簡単にインストールするために設計されたものです。ワークステーションクラスインストールとよく似ており、パッケージが適切なものであることが確認され、同時に自動インストール環境が提供されます。

カスタム

カスタムクラスインストールを実行すると、インストール関連のオプションをもっとも柔軟に選択できます。パーティション設定のスキーム、インストールするパッケージ、その他さまざまな選択を行うことができます。カスタムクラスインストールは、Red Hat Linuxを使い慣れているユーザーや、最大の柔軟性を希望するユーザーに最適です。

アップグレード

すでにRed Hat Linux(3.0.3以降)がシステム上で稼動しており、最新のバージョンのパッケージとカーネルに素早くアップグレードしたい場合は、アップグレードが最適です。

Note注意
 

カスタムクラスインストールでは最大の柔軟性が得られます。ワークステーションクラスインストールとサーバークラスインストールでは、インストールプロセスが自動的に実行され、いくつかのステップが省略されます。ただし、ワークステーションクラスインストールとサーバークラスインストールにもパーティション構成に関するオプションが追加されたので、これらのインストールを選択すると、インストール時にドライブのパーティション設定を手動で実行することができるようになりました。

こうした複数のインストールタイプにより、インストールプロセスを簡略化するか(設定に関する柔軟性は失われることもあります)、インストールプロセスが少し複雑になっても柔軟性を得るかを選択することができます。次に、正しいインストールタイプが選択できるように、各インストールタイプについて詳細に説明します。

Note注意
 

パーティションレスインストールの実行を計画している場合も、インストールタイプを選択する必要があります。ただし、削除されるパーティションに関する警告は無視してかまいません。この警告は、通常のインストールを実行する場合のものです。パーティションレスインストールを実行する場合は、システム上の情報が失われることについて心配する必要はありません。パーティションレスインストールでは、既存のパーティションは削除されません。

ワークステーションクラスインストール

初心者に最適なワークステーションクラスインストールでは、ユーザーの選択に従ってGNOMEかKDE(あるいはその両方の)デスクトップ環境と、X Window Systemをインストールします。

Warning警告
 

ディスクをWindows NT/2000と共用する場合はこの方法を選択しないでください。この方法を選択すると、LILOによりNTのブートローダーが上書きされ、NTを起動できなくなります。NTとディスクを共用してRed Hat Linuxをインストールする場合は、カスタムクラスインストールを実行して、LILOがマスタブートレコード(MBR)上にインストールされないように設定しなければなりません。

すでにNTがインストールされているシステム上にデュアルブート環境を作成するには、LILOを、MBR上にではなくrootパーティションの先頭セクタにインストールしなければなりません。必ずブートディスクを作成してください。LILOをrootパーティションの先頭セクタから起動するには、ブートディスクを使用するか、NTのシステムローダーを設定する必要があります。

LILOとNTのセットアップに関する詳細については、http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/Linux+NT-Loader.htmlを参照してください。

Warning警告
 

ワークステーションクラスインストールを実行すると、コンピュータのすべてのハードディスクドライブからすべてのLinux関連パーティション内のすべての情報が削除されます。

ワークステーションクラスインストールのための推奨されるディスク容量の最低要件を以下に示します。

すべてのグループパッケージ(たとえばGNOMEはグループパッケージ)を選択し、同時に追加の個別パッケージを選択する場合、1.5Gバイト以上のディスク容量が必要になることもあります。使用できる容量があれば、必要に応じて追加データのための領域が確保できます。

Note注意
 

Red Hat Linux 7.0より前のワークステーションクラスインストールとは異なり、Red Hat Linux 7.1でワークステーションクラスインストールを実行しても、ネットワークデーモンxinetd(inetサービス)はインストールされません。xinetdをインストールしないことにより、より安全なインストールになります。ただし、finger telnet talk FTP などの内向きのネットワーク関連サービスは機能しなくなります[1]。上記のサービスが必要な場合は、サーバークラスインストールかカスタムクラスインストールを選択してください。

ワークステーションクラスインストールで行われること

自動パーティション設定を選択すると、ワークステーションクラスインストールでは、インストール済みのすべてのハードディスクドライブ上のすべてのLinux関連パーティションが削除され(さらにパーティションが設定されていない空きディスク領域を使用して)、以下のパーティションが作成されます。

  • 64Mバイトのswapパーティション

  • Linuxカーネルと関連ファイルが常駐する16Mバイトのパーティション(/bootとしてマウント)

  • すべてのファイルを保存するために必要なサイズ(正確なサイズは、利用可能なディスク領域によって異なります)のrootパーティション(/としてマウント)

サーバークラスインストール

サーバークラスインストールは、システムをLinuxベースのサーバーとして機能させ、かつシステム設定を大幅にはカスタマイズしたくない場合に最適です。

サーバークラスインストールに必要な推奨ディスク容量を以下に示します。

すべてのグループパッケージを選択し、同時に追加の個別パッケージを選択する場合、1.2Gバイト以上のディスク容量が必要になることもあります。使用できる容量があれば、必要に応じて追加データのための領域が確保できます。

Warning警告
 

サーバークラスインストールを実行すると、コンピュータのすべてのハードディスクドライブからすべてのパーティション(Linuxに関連するものもそうでないものも)が削除されます。

サーバークラスインストールで行われること

サーバークラスインストール時には、パッケージの選択時に適切なパッケージを選択してインストールしないと、システムの起動時にX Window Systemが設定されず、GUIもロードされません。自動パーティション設定を選択すると、インストールプログラムは、あらゆる種類のパーティションにあるすべてのデータを削除し、新しいバージョン用にディスクのパーティションをどのように設定するかを決定します。(さらにパーティションが設定されていない空きディスク領域を使用して)、以下のパーティションを作成します。

自動パーティション設定を選択すると、サーバークラスインストールでは、インストール済みのすべてのハードディスクドライブ上のすべてのパーティションが削除されるため、保存しておくべきものがないことが確信できる場合にのみこのインストールを選択してください。インストールが完了すると、以下のパーティションが作成されています。

  • 256Mバイトのswapパーティション

  • 256Mバイトのパーティション(/としてマウント)

  • 最低512Mバイトのパーティション(/usrとしてマウント)

  • 最低512Mバイトのパーティション(/homeとしてマウント)

  • 最低256Mバイトのパーティション(/varとしてマウント)

  • Linuxカーネルと関連ファイルが常駐する16Mバイトのパーティション(/bootとしてマウント)

このディスクパーティション設定スキームにより、ほとんどのサーバーのタスクに対して適度に柔軟性のあるファイルシステム構成を実現することができます。

ラップトップクラスインストール

ラップトップクラスインストールでは、ユーザーの選択に従ってGNOMEかKDE(あるいはその両方の)デスクトップ環境と、X Window Systemをインストールします。

Warning警告
 

ディスクをWindows NT/2000と共用する場合はこの方法を選択しないでください。この方法を選択すると、LILOがNTのブートローダーを上書きし、NTを起動できなくなります。NTとディスクを共用してRed Hat Linuxをインストールする場合は、カスタムクラスインストールを実行して、LILOがマスタブートレコード(MBR)上にインストールされないように設定しなければなりません。

すでにNTがインストールされているシステム上にデュアルブート環境を作成するには、LILOを、MBR上にではなくrootパーティションの先頭セクタにインストールしなければなりません。必ずブートディスクを作成してください。LILOをrootパーティションの先頭セクタから起動するには、ブートディスクを使用するか、NTのシステムローダーを設定する必要があります。

LILOとNTのセットアップに関する詳細については、http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/Linux+NT-Loader.htmlを参照してください。

Warning警告
 

ラップトップクラスインストールを実行すると、コンピュータのすべてのハードディスクドライブからすべてのLinux関連パーティション内のすべての情報が削除されます。

ラップトップクラスインストールに最低限必要な推奨ディスク容量を以下に示します。

すべてのグループパッケージ(たとえばGNOMEはグループパッケージ)を選択し、同時に追加の個別パッケージを選択する場合、1.7Gバイト以上のディスク容量が必要になることもあります。使用できる容量があれば、必要に応じて追加データのための領域が確保できます。

ラップトップクラスインストールで行われること

自動パーティション設定を選択すると、ラップトップクラスインストールでは、インストール済みのすべてのハードディスクドライブ上のすべてのLinux関連パーティションが削除され(さらにパーティションが設定されていない空きディスク領域を使用して)、以下のパーティションが作成されます。

  • 64Mバイトのswapパーティション

  • Linuxカーネルと関連ファイルが常駐する16Mバイトのパーティション(/bootとしてマウント)

  • すべてのファイルを保存するために必要なサイズ(正確なサイズは、利用可能なディスク領域によって異なります)のrootパーティション(/としてマウント)

このインストールではシステム内のすべてのハードディスクドライブ上のすべての 既存Linuxパーティションが削除されます。非Linuxパーティションは削除されません。

ラップトップクラスインストールでは、GNOMEかKDE(または両方の)デスクトップ環境とX Window Systemがインストールされます。

Note注意
 

Red Hat Linux 7.1でラップトップクラスインストールを実行しても、ネットワークデーモンxinetd(inetサービス)はインストールされません。xinetdをインストールしないことにより、より安全なインストールになります[2]。ただし、 fingertelnettalkFTPなどのネットワーク関連サービスは機能しなくなります。上記のサービスが必要な場合は、サーバークラスインストールかカスタムクラスインストールを選択してください。

カスタムクラスインストール

 カスタムクラスインストールでは、インストール時に最も大きな柔軟性が得られます。ワークステーションクラスインストールおよびサーバークラスインストールでは、インストールプロセスが自動的に実行され、いくつかのステップが省略されます。カスタムクラスインストール時には、ユーザーがディスク領域のパーティション設定方法を決定しなければなりません。ユーザーは、システムにどのパッケージをインストールするかを自在にコントロールすることができます。LILO(LInux LOader)を使用してシステムをブートするかどうかも指定できます。Linuxを扱った経験がない場合は、カスタムクラスインストール方法を選択しないほうがよいでしょう。

カスタムクラスインストールのための推奨されるディスク容量の最低要件を以下に示します。

カスタムクラスインストールで行われること

名前から推測できるように、カスタムクラスインストールでは柔軟性に重点が置かれます。カスタムクラスインストール時は、ディスク領域のパーティション設定の方法を選択することができます。システムにどのパッケージをインストールするかを自在にコントロールすることができます。LILO(LInux LOader)を使用してシステムをブートするかどうかも指定できます。

どのタイプのインストールがより適切であるかを判断するために、以下のリストが役立つかもしれません。このリストに記載されたタスクを問題なく実行できないと思われる場合は、カスタムクラスインストールを実行する前にこのマニュアルにひととおり目を通し、すべての疑問を解決してください。

  • パッケージの選択とインストール — このステップはパーティションをフォーマットするための設定と選択を実行した後に実行します。グループパッケージ、個別パッケージ、その組み合わせを選択するか、全部インストールするように選択することができます。

  • LILOの設定 — カスタムクラスインストールでは、LILOをマスタブートレコード(MBR)上、rootパーティションの先頭セクタ上のどちらにインストールするかを選択することができます。あるいはLILOをインストールしないことも選択できます。

  • 認証の設定 — カスタムクラスインストール時には、認証の設定を使用して、ネットワークパスワードをセットアップすることができます。

自動パーティション設定を選択すると、カスタムクラスインストールでは、インストール済みのすべてのハードディスクドライブ上のすべてのLinux関連パーティションが削除され(さらにパーティションが設定されていない空きディスク領域を使用して)、以下のパーティションが作成されます。

  • 64Mバイトのswapパーティション

  • Linuxカーネルと関連ファイルが常駐する16Mバイトのパーティション(/bootとしてマウント)

  • すべてのファイルを保存するために必要なサイズ(正確なサイズは、利用可能なディスク領域によって異なります)のrootパーティション(/としてマウント)

システムのアップグレード

Red Hat Linux 3.0.3(またはそれ以降)をアップグレードする場合は既存のデータは削除されません。インストールプログラムは、モジュール形式の2.2.xカーネルとインストール済みのすべてのソフトウェアパッケージをアップグレードします。詳しくはChapter 4Appendix Aを参照してください。

Notes

[1]

たとえば、他のシステムに発信するtelnetは行えますが、他のシステムはこちらのシステムに対してtelnetを使用できません。

[2]

たとえば、他のシステムに発信するtelnetは行えますが、他のシステムはこちらのシステムに対してtelnetを使用できません。